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極度の大怪我を負ったら人は痛みを感じないという。あまりの痛みにショック死しないように感覚の安全装置が働くのだろう。
「え?あぁそうなんや。とりあえず。」
そう言って母を伴いリビングに入った私はあまりにも無表情だった。安全装置が働いて何も感じなくなったかのように。
事の重大さと反してあっけらかんとした態度の母を見て動揺する私。
(動揺するな。落ち着け!落ち着け!!)
そう心で唱えている間に妹たちが上がってきた。
「あぁ、お帰り。お母さんな、肺ガンやねん。」
父はまだ仕事から帰っていない。
兄はまだ大阪。
母と妹二人、私の四人で話は進む。
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