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私はいつものように、見慣れた病室の中にいた。
何年経っただろうか、窓からみる桜も枯れては満開に咲く、繰り返した。
私の日常はいつも同じ。予めプログラムで定められたかのように、決まった時間に決まったことをして退屈としか言いようのない、つまらない日常だ。
そのせいか生きている実感がない。
とはいっても、もうすぐ死んじゃうんだけど。流石に死ぬとまでは言われてないけど、どうせそんなに生きれないでしょ。
だから、この部屋とももうおさらば。
でもなぁ。
せめて、死んじゃう前に……
普通に学校に行って、友達作って、放課後みんなで遊ぶ。
そんなことしたかった。
『普通』がどんなに愛しいことか、『普通』がどんなに幸せなことか。
この世界に生きている人は分かっていない。
分からないで、淡々と生きていく。羨ましいという感情の前に、憎悪を抱いた。
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