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「柚木、本当にごめんね?身体の弱い娘に産んじゃって」
沈黙を破ってお母さんは突然、そんなことを口にした。
何回、何百回。同じことを聞いたか分からない。
「お母さんのせいじゃないよ。身体が弱く生まれてきた私のせい」
私は口ではそんなことを言ったけど、心の中ではこんな体に産んだ母を呪っているところがあるのかもしれない。
でも、それは自分でも本当にどうかは分からない。
お母さんは『そう……』と呟くと、また長い沈黙が続いた。
あー、もうやだ。
「……お母さん、お仕事忙しいんだからもう帰りなよ」
コレはお母さんを追い出す口実。口実といっても、忙しいのは本当のことだからお母さんは……
「そうね、じゃあ……また明日来るわね」
そういって出ていく。コレもいつもどおりの日常の一部。
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