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お通夜には、彼女がどれだけ好かれていたか分かるほどいろんな人が来ていた。
みんな、泣いたり、辛い表情をしていた。
「あなたが、拓巳さん?」
振り替えると、愛莉にどこか似ている女性が立っていた。
「私が愛莉の姉です。
どうぞ、控え室まで…。」
僕はお姉さんに連れられて、遺族控え室まで来ていた。
「これ、愛莉の日記と…あなたへの手紙です。」
愛莉の綺麗な字が書かれていた。
自分の“死”を覚悟していたようなその手紙が、僕をより悲しみのドン底に突き落とした。
「愛莉、あなたが大好きでした。
祖母が“拓巳ちゃん”の話をするたびに、“拓巳ちゃん”を好きになって…
あなたと恋に落ちれて、愛莉は本当に、本当に幸せでした。
あの子に、好きの気持ちを教えてくれてありがとう。
愛してくれてありがとう…愛莉は、それだけで世界一幸せな子だから。」
ありがとうを言われる資格なんてないのに、僕は逃げた。
昨日、彼女を愛していれば…
僕の中に悔いが残る。
「愛莉、ずっとあなたの名前を呼んでた。
拓巳、ありがとう。
拓巳、ごめんね。
負けず嫌いの愛莉が、素直になれる相手があなたで、良かった。」
僕の涙をお姉さんが拭いてくれた。
「愛莉に怒られそう!」
なんて笑いながら。
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