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僕は、春が嫌いだ。
桜の木の下で、君と出会ったあの日のことを
思い出してしまうから。
僕は、朝が嫌いだ。
君を連れ去ったあの日の目覚めを
思い出してしまうから。
僕は、僕が嫌いだ。
八方美人で気分屋で、過去をひきずる。
君を思い出すための材料の塊だ。
僕は、君が好きだ。
綺麗な髪も、長い睫毛も、大きな瞳も。
強がりなところも、頑固なところも、実はすごく弱いところも、全部ひっくるめて大好きだ。
生まれて初めて人を愛した。
生まれて初めて人に愛された。
君がいなければ、僕はまだ恋を知らず、愛を知らず、僕はバカみたいに一人だっただろう。
君が愛してくれた僕だから、
僕は僕でいられる。
君が愛してくれた僕だから、
まだ君を愛してる。
君が愛してくれた僕だから、
僕は生きていける。
君と。
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