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夏休みが明けた朝、僕は電話の音で目を覚ました。
時計を見れば、7時20分。
目覚まし時計は止まっていた。
「拓巳!今朝5時頃、あなたの同級生の子が亡くなったって電話があったわよ?」
母さんがそう言った。
同級生…?誰だろ?
「あなたのクラスの藤崎…藤崎なんだったかしら。
今朝突然らしいわ。」
は…?
「な、愛莉なわけないよな…?」
「あ、そうそう愛莉さん。」
僕の中で何かが崩れる音がした。
昨日、愛してると言い合った彼女が…いない?
僕は無我夢中で彼女に電話をした。
プルルルル…プルルルル…○○お留守番電話サービスにお繋ぎします。
何度も、何度も、同じことを繰り返す。
「拓巳、やめなさい!」
「やめろよ!!愛莉なわけ、ないんだよ…!
愛莉は、だって…昨日、生きてた…」
確かにあったはずのあのぬくもりが、今は存在しないなんて考えられない。
『…もしもし』
何度目かの電話に出た声は、愛莉に似ていた。
「愛莉に変わってください…」
『…私は、愛莉の姉です。
あなたは…拓巳さんですよね?
愛莉、いっつも話してました、アナタのこと。』
やめてくれ、愛莉を過去にするのは…!
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