69人が本棚に入れています
本棚に追加
「面会ですよ」
やはり面会だった。しかし看護師が連れてきたのはタキシードを着た金髪の男で、三咲はこの男に見覚えがなかった。
「では、私は戻りますね」
「ああ、ありがとうございました」
看護師に向かって、男は上品に微笑んだ。
看護師が出ていくと、男は三咲のベッドに歩み寄った。
「こんにちは。狭川三咲さん。ご機嫌いかがですか?」
普通なら、見知らぬ男が近寄り、声をかけてきたら警戒するところだが、三咲は何故かこの男に何の危険も感じなかった。
「どちら様……ですか?」
「ああ、申し訳ありません。自己紹介がまだでしたね。私は、ストラ、と申します」
ストラは言い終わると、微笑みながら深々と頭を下げた。
「私に……何のようですか?」
「実は私は地獄の悪魔なのです。今回、あなたと契約をしに参りました」
ストラは常に微笑んでいた。三咲はストラの言った『悪魔』という言葉と『契約』という言葉が引っ掛かった。
最初のコメントを投稿しよう!