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ザーザーと止まない雨音が鳴り続ける。
哀しみにうちひしがれた一人の女の子がそこには立ち尽くしていた。
「…わかりあえるさ。俺たちは必ず…
今はこれしか方法がないだけだ…」
女の子に言い聞かせるように優しい声でそう話す男の子。女の子はその様子をただ見つめていた。
「うん」
「……だから」
「……うん」
言葉は虚しく、届かない――
本当の英雄だったら、こんなとき何と言うのだろうか?
そんなことを考えてしまった男の子は自嘲気味に笑うと、女の子に背を向けた。
「…行くの?」
女の子は男の子に短く尋ねる。男の子は振り返らずに頷いた。
そのまま、男の子はなにかに向かって駆けて行く。
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