逃げ出さなきゃ

13/16
前へ
/63ページ
次へ
ニンゲンが数人、大根役者の演技のように、驚いた。 俺はそこにも刃を向けた。 しばらく雨は止まなかった。 やがて、街の警備隊がやって来た。 血なんて見たことが無いのだろう。 俺を目にしても、ただ立ち尽くすだけ。 装備は俺なんかとは比べ物にならないが、平和に怠けて努力しない、今のニンゲンなんて、俺の狂気の相手にならない。 なぜそんなことをするんだ? そう聞かれたから、答えてやった。 お前らはそれで生きてるつもりなのか? 何も感じずに、ただ昨日と同じ今日を、明日になっても繰り返すだけ。 そこには自由も意志も何もない。 お前らは、生きながらにして死んでるんだよ。 生きるってのは、ただ心臓が動いてることじゃない。 より良い明日に向かう意志が、人間の生を支えるんだ。 そんなことも忘れたニンゲンに、思い知らせてやろうと思ってな!
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加