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音楽は、素晴らしい。
悲しい音楽を聞けば誰もが悲しみの感情を持つ。
激しい音楽を聞けば誰もが興奮する!
これは偶然だろうか?
いや、そんなはずは無い。
音楽は、この音楽こそが、心のプログラムの正体に違いない。
音楽は、人間が生み出した最高の芸術だ、なんてよく言われるが、そうじゃない。
これほど崇高で完成された芸術を、何千年も前の人間に生み出せるはずがない。
人間は、思い出しているのさ。
自分の内側に流れる音楽を。
音楽という形でプログラムされた心の中で、その音楽を思い出しながら、何度も反芻しながら、創っていったのが、音楽だ。
だから、悲しい音楽には一定のパターンがある。
それは、悲しい音楽は全て、悲しみのプログラムに似せて作ったからさ。
だけど悲しみのプログラムを完全に再現することができないから、音楽を聞いた時に現れる悲しみにも個人差はズレが出てくる。
そして私は、長年の研究を経て、このプログラムを再現することに成功した。
私が作った怒りのプログラムを聞けば、誰もが我を忘れて怒り狂う。
悲しみのプログラムを聞けば、誰もが流れ出る涙を止められない。
私は、全人類の心を掌握できる力を手にした。
簡単に世界を征服することもできるだろう。
だが、私はまだそれをせず、研究を続けた。
そして、全く今までに無いパターンのプログラムを発見した。
悲しみのプログラムに似ている気もするが、どこか怒りや、喜びのプログラムにも似ている。
そんなプログラムだ。
このプログラムを全人類に聞かせれば、人間に今まで無かった全く新しい反応を起こせるに違いない。
人類にさらなる進化をもたらすことが出来るはずだ。
そう考え、私はその計画を、実行に移したんだ。
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