ようこそ 私の終末論

彼

彼は、神様のような人でした。

けれど、

本当はただの人間なんです。

だって、

刺せば、赤い血が出るんです。

切れば、痛みに顔を歪めるんです。

刃物を突きつければ、やめてくれと叫ぶんです。

それって、まるでただの人間みたいじゃないですか。

皮膚を裂けばその下に血にまみれてピンクな脂肪があってもう少し切れば赤い筋肉も見えてその下の白い骨は固くて切りづらくてお腹を開けば何かよく分からないものがぐちゃぐちゃになって入ってて左胸を裂けば小っちゃい心臓が弱々しくどくどく言ってるんです。

普通です。

ただの人間と一緒なんです。

今まで、ずっと黙っててしんどかったよね。

ただの人間なのに、

神様みたいに思われて大変だったよね。

もう大丈夫だよ。

私がちゃんと分かってあげたから。

私がちゃんと、

ただの人間として認めてあげるからね。