ようこそ 私の終末論

逃げ出さなきゃ

さっきから話に度々でてくる「ドーム」。

それが、俺たちの世界の全てだ。

環境破壊が進んだ地球では、人間が生きていられる地域は極端に少なくなった。

大気汚染、温暖化、紫外線、砂漠化、水質汚濁、あげていけばキリがない。

人間の、欲望渦巻く搾取によって、事実上、地球は死んだ。

そこで、人間が創り上げた新世界、それが「ドーム」だ。

病原体一つない清浄な空気と水が、ドームには供給されている。

汚染物や廃棄物は全て、ドームの外界に捨てられる。

このドームの存在が、「セカイ」を完全に管理することを、可能にしている。

そこで「ニンゲン」は皆、のほほんと暮らしていやがる。

ドームから出れば、人間なんて３秒で死に至る死の世界が、外には果てしなく広がっていると言うのに。

動物園のドームに行けば、ちゃんと多くの動物が生きているし、森ドームや田畑ドームに行けば、たくさんの自然が広がっているように見える。

人間による自然破壊も無くなったし、病気や事件、事故など、「ニンゲン」のそのお利口な頭を悩ませるような問題は、何一つ無くなった。

ある意味ではここは、ユートピア(理想郷)かもしれない。

だけど、こんな世界は、絶対に、間違っているんだ。