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ドームはもちろんのことながら、許容人数が限られている。
ドーム建設当時、もう既に環境の破壊や汚染が進んでいた地域には、ドームを建てることができなかった。
その地域に住んでいた生命体は、当然のこととして、息絶えていった。
だがそれだけじゃない。
建設可能だった地域には、次々にドームが建てられたが、そのドームに居住したのは、そこに元々住んでいた人々ではなかった。
ドームに住むことができたのは、先進国の人間、さらに言えば、選ばれた才能、技能を持ち合わせた人間達だけだった。
途上国の人間、平凡な人間は、必然的に、見殺しにされたのだ。
悲劇はそれで終わりではなかった。
ドーム内であっても、人間は、必要以上に殖えてはいけない。
そこで、胎児のDNAを検査し、障害が見つかった、又は、遺伝子的に下等であると判断された胎児は、全て例外なく、中絶される。
こんな現状だと言うのに、ニンゲンは誰も異論を唱えないし、そもそも疑問すら抱かない。
管理されたのは、何も世界の方だけではなかったのだ。
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