告白

2/7
57人が本棚に入れています
本棚に追加
/186ページ
桜の木が緑一色になり、暖かい風が河原を通り過ぎる。 今日は日曜日… 大した用事もない僕は、図書館の帰りにそんな景色をただただ眺めていた。 「室町くん?」 すると、後ろから僕の名前を呼ぶ小さい可愛らしい声が聞こえてきた。 「!!!」 僕は驚き、声らしい声も出せず、勢い良く後ろを振り返った。 胸まである長い茶色の髪と、白いワンピースを風になびかせ…その娘は立っていた。 「よかったぁ…違うかなって思ったけどやっぱり室町君だった。私服だと雰囲気変わるね」 そう言った彼女は白い歯をチラッと見せて笑う。 僕はそんな彼女の前で、ただ立っているだけ… 彼女からしたら、 話しかけてもシカトする、感じの悪い男にしか映っていなかったと思う。それでも彼女は僕に話しかけてくる………。 「室町君の家はこの辺りにあるの?」 「!!!」 質問された! 彼女が僕の家がどこにあるのか気になっている! 何か返さなければ!!!!
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!