暗い道

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カチカチと、時計の針の音だけが保健室に響いていた。 窓の外では、野球部がグラウンドで部活の準備を始めている。 「なあ、室町ー… あんまりイライラさせんなよ?」 さっきまで、黙っていた寺田君が口を開いた。 「正直さぁ… 誰も想像してなかったんだよなぁ… 今まで、何もなかったのに、いきなり! しかもお前って… 納得しろって言われても、出来ないだろ…」 寺田君はそう言って、パーマのかかった髪をグシャグシャとかきわけた。 三井さんの事が好きな人は、他にもたくさんいるだろう…。 その中の『イケメン』が、三井さんと付き合ったとしたなら、寺田君は何も言わなかったと思う。 でもそれが、何の取り柄もないこの『僕』だったから納得いかない…。 僕自身だって、その事に頭を抱えているのだから、周りの人達は僕以上に疑問を持っているだろう。 多分、寺田君は三井さんに思いを寄せているのだと… この時、冷静に判断した。
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