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東京都第"24区"。
夕方5時。
ワタシは卒業祝賀会の後一旦家に帰ってから、
制服のままですぐ向かいのあいつの家に来ていた。
卒アルに使われるはずだった写真を使った"あいつ"の遺影を抱えて。
背後のワタシの家同様に和風の大きな家。
ワタシは意を決してその家の門をくぐり玄関の戸をそっと開いた。
無意識にもそっとゆっくりと開いたのは、
やっぱりどこか覚悟出来てない所があったのかな?
「ごめんくださぁい。」
ワタシはこれまたそっとそう言う。
するとすぐに「はぁい。」と言う返事が聞こえ、
近づいてくる足音。
そこに来たのはいつも通りの緑を貴重とした和装のあいつのおばあちゃん。
「あら歌音ちゃん。
いらっしゃい。」
おばあちゃんは意外にも今まで通りにワタシを迎え入れてくれた。
ニッコリと笑いながら。
…………あっ、
「あの……
遺影……返しにきました。」
ワタシはそう言って遺影を差し出す。
「あ、
ごめんねぇ?
わざわざこんな面倒掛けさせて。」
そう言いながら差し出した遺影を受けとるおばあちゃん。
おばあちゃんはそれに写った孫を見る。
寂しそうな笑顔で………
「いえ、
ワタシこそ……ごめんなさい………
あの………
お線香……あげても良いですか?」
ワタシは真っ直ぐとおばあちゃんの目を見ながらきいた。
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