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おばあちゃんは今度こそニッコリと笑いながら答えた。
「もちろん。
きっとこいつも喜ぶよ。
さ、あがって。」
「おじゃまします。」
ワタシは縁側をおばあちゃんについて行く。
「ちょっとここで待ってて。
仏壇にこれ置いてくるから。」
遺影をワタシに見せるおばあちゃん。
ワタシはただ答えた。
「はい。」
おばあちゃんはまたニコっと笑うと、
戸を開いて中に入る。
ふぅ…………
溜め息をついてからふと庭を見ると、
そこにはいつも通りの大きな桜の木。
その木に咲く数輪の桜を見つけた。
……そういやあいつ、
桜が咲くの楽しみにしてたっけ?
「はいどうぞ。
じゃあごゆっくりとどうぞ。」
「ありがとうございます……
ううん、
ありがとうおばあちゃん。」
今度はいつも通りの口調で言えた。
それにおばあちゃんはただ優しくうふふと笑う。
ワタシはそのおばあちゃんに一礼して部屋の中に入った。
後ろで戸を閉める音がする。
ワタシは仏壇の前に座り込み線香を適当に一本取ると、
"界術"でそれに火をつけてそれを灰にさし手を合わせる。
………何卒業直前に勝手に逝っちゃってんのさ?
このバカ………
どれだけの人が悲しんでると思ってるの?
これから先どれだけの人が苦しむと思ってるの?
《死ぬな!》
あの日皆そう言ったのはどこのどいつだよ?
のくせに勝手に死んじゃってさ……説得力無いって………
……ねぇ?
帰って来てよ?
"凌也"との約束も果たせてないじゃん?
ねぇ……ねぇってば………
「涼……
返事してよぉ………」
ワタシの頬を涙が伝う。
"私"よっくと憶えてるよ?
あの時は"ワタシ"本当に悔しかった………
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