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島貫 真
まだまだ寒い3月の末の日の夕方。
樹々や草の生い茂る森。
夕暮れということもあり薄暗いけど、
どこか神聖さを感じられる森。
そんな森の中の小さな祠の前に、
まだまだ顔に幼さの残る背の低い少年がいた。
その少年こそがオラ。
島貫 真だ。
オラはその祠に手を合わせる。
僕はこの地を去ります。
この土地を守る役目はあとは皆に任せます。
今まで……お世話になりました。
オラは心の中でその祠にきっといるであろう神様か何かにそう言い、その場を後にした。
森の中には力強くもどこか悲しげな12歳のオラのガサガサという足跡だけが響いていた。
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