門出

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数十分後。 森を出て山に隠れ行く夕日を背に田んぼ道を歩いて来たオラは、 住み慣れた家の前まで戻って来ていた。 オラは家を見る。 塀に囲まれており、その中にある一階建ての和風な家と、 一本だけ無駄に大きな紅葉の樹。 もうしばらくは帰ってくることは無いんだよな……… そんな我が家の前には、 父ちゃん、じっちゃん、そして皆がいた。 夕焼けに照らされた皆の顔が赤く見える。 そんな中父ちゃんが口を開いた。 「さてと、 もう全部すんだな?もう行くぞ。」 父ちゃんはオラにそう言う。 オラはただ、 「うん。」 とだけ答えた。 父ちゃんは車に乗り込む。 オラも車の助手席に乗り込もうとする。 「おい!」 すると聞こえた友達の声。 オラは皆の方を見る。 「今までありがとうな。 真が引っ越しても俺らがなんとかすっから心配すんな。」 そいつは笑顔でそう言う。 「体には気を付けろよ。」 「向こうに行っても今まで通りの真で頑張ってね。」 皆から様々な声が飛んでくる。 それまで当たり前だった仲間。 そして今当たり前じゃ無くなろうとしてる大切な仲間。 皆の声が止んだ時、最初に口を開いた友達がもう一回オラに話しかける。 「いいか? 辛くなったなんて理由で帰って来たりすんじゃねぇぞ。 帰って来ていいのは帰省と八年後に掘り起こす時だけな。」 ………わぁってるよ。 友達は笑顔でそう言った。 「わかってるよ。 じゃ…… またな。」 オラは笑顔で皆にそう言う。 これがオラが最後に皆に言った言葉か……… オラは車に乗り込む。 ふともう一度皆を見ると、 皆笑っているのにその中で一人だけ必死に笑いながらも少し下を向いている幼なじみの女の子を見つけた。 恵美……… ……あ、急がないと。 オラは車に乗り込んだ。
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