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「ふぅ……じゃあ、車出すぞ。」
父ちゃんは横からオラにそう言い車を発進させる。
車がゆっくりと動きだした中、オラはふとサイドミラーを見た。
「あ!」
するとそこには走ってくる幼なじみの姿があった。
オラは急いで窓を開けて顔を出し後ろを見る。
「恵美!」
すると幼なじみは走りながらも必死に大声で語りかけてきた。
「絶対に皆で過ごした日々を忘れないでね!
今まで真と一緒に入れて凄く楽しかったよ!
すっごく心強かったよ!
絶対にまたいつか帰ってきてね!」
幼なじみは必死にそう叫ぶが、車のスピードはぐんぐんと上がり幼なじみとの距離はどんどん離れていってしまう。
そこで幼なじみは走るのをやめる。
「私達は26人で一つだからね!
別々でも、別々にいるように見えてもすぐそばで一緒に皆で歩き続けてるんだからね!」
幼なじみは最後に涙を流しながらも力強くそう叫び、
道路の上に座り込んだ。
それの背中を遅れて走ってきたさっき先頭に出てたもう一人の幼なじみがさする。
オラは車の中に顔を戻し、真新しい制服のズボンを握り、下を向いて必死に涙をこらえる。
それでも涙はポツポツと制服のズボンに落ちる。
泣かないって決めたのに………
今日は小学校の卒業式。そしてオラが生まれ育ったこの地から旅立つ日だった。
オラは制服の袖で涙をふき、泣くのを止め前を見た。
こんなところで泣いてなんかいられるかよ……!
なんで泣く必要があるんだよ……!
またいつか皆とは会える。
しかも、
オラだは今も皆で歩き続けているんだ。
オラだはまだ始まったばっか。
続きがあるんだ。
その時の"オラ"の表情を"俺"は未だに知らない。
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