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「朋奈、今日帰り予定ある?」
「あ、ごめん。今日からバイトなんだっ」
「今日から?もうバイトするの?」
まだ入学したばかりだが、そうも言っていられない。
結局、転職した父親の稼ぎが安定するまでは少なくとも自分が家事や家計を支えなければ。
「うん。だから、しばらく放課後忙しくて」
「分かった。バイトがんばってねー!」
しかしバイトをしようにも、高校生の時給はとても安い。そのためいくつか掛け持ちすることにした。
今日は、24時間営業のファーストフード店だ。
初日だからか緊張してしまい、思い通りには接客できなかったがどうにかなりそうで安心した。
帰宅するとリビングのテーブルの上にラップのかかった夕食があって、疲れがとれた。
「―――…父さん」
転職してからは、父親は蘭という名前も持った。
いまは、父親である朋哉と母親のような蘭がいる。だから、淋しくない。
残りのバイトも慣れるまでは大変だろうが、やるしかない。
もう守られてばかりいるような年齢ではないのだから。
「……からい…」
不器用な父親らしく、すこしからい煮物が何故か何よりも嬉しかった。
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