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男ふたりでたどたどしく家事をする毎日に慣れてきた頃、リビングで食事をしていると…父親が思い詰めたように、カレーのスプーンをおいた。
「…ん?もう食べないの?」
「いや…朋奈、話があるんだ。」
朋奈の脳裏に一抹の不安が過ぎる
(まさか、再婚とか…!?)
母親が亡くなったばかりなのに、そんな話を聞く勇気は自分にはない。
「実は、父さん…」
(い、嫌だ‐…!!)
「再婚は、まだ駄目…!!」
「転職しようかと思ってるんだ」
「―――…はあ?」
・・・
自分の予想していた事態は免れたが、この100年に1度の不景気に再就職なんかできるのだろうか?
「……もう仕事は決めてんの?」
「―――…朋奈、同性愛に偏見は?」
(…突然、何?なんで転職にそんなんが関係すんの…)
驚きと不安が彼の脳内を占める。
「―――…ない、よ…」
(偏見はない…ッていうか、現実に出会ったことがないだけ‐…)
「よかった。……父さん、実は…バイセクシャルなんだ」
(……ば、ばいせくしゃる??)
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