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馴染みのない単語に思わず聞き返した。
「……両性愛者のことだよ。父さんは、男も女も愛せるんだ」
「…ぶはッ…!!」
気持ちを落ち着かせるために飲んでいた水を盛大に吹き出すと、ゴホゴホとむせながら続きを促す。
「で、転職先は…?」
この際…両性愛者なことは置いといて、父親の転職先が気になる。
「……ゲイバー、だ」
「ゲイバーッてなに」
「ゲイの集まるバー」
「―――…」
(もう好きにして下さい…!!)
朋奈は、この日…
人間、知らなくてもいいことは知るべきではないということを身をもって体験した‐…
・・・
そして時間は流れ、中学3年生だった朋奈は高校生になった。
奨学金制度のある私立の高校を受験し、見事合格したのだ。
これでアルバイトもできるし、授業料も免除される。
充実した高校生活が送れるはずだった。
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