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「あれ、人識じゃない」
開いた扉から覗いたのは見知った色彩だった
「解識にーちゃん?」
完全に色素の抜けた白い髪に紅玉を思い起こさせる紅い瞳
とても清らかな色彩
「や、久し振り」
人識と違って自前だと言うその色彩は一度見たらそうそう忘れられたものではない
「簀戸さん、俺コーヒーブラックで」
「珍しいわね、普段はあまぁいの飲むのに」
その言葉に解識は縁無し眼鏡の奥の紅い瞳をわずかに歪ませた
「一週間程不眠不休でしてね」
「あらまぁ…」
それは大変ね、とコーヒーを入れる手は休ませずに密祈は言う
「あぁ俺のお姫様はいったい何処に行っちゃったんだかねぇ…」
言って天井を仰ぐと深々と溜息をつく
「お姫様…って」
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