第六章<清らなる色彩>

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「式見ちゃんのことでしょう?」 解識と人識の前にコーヒーを置く 「あいつ、どっか行っちまったのか?」 「染識と一緒にとんずらこきやがった」 わずかに怒りを含んだ声音で応えると、煙草を取り出す 火は着けずに加えると人識の方に視線を向けた 「で、知らないぃ?俺のお姫様」 「何で俺が知ってるんだよ」 「何で知らないのですかねぇ、逆に」 「あんた、そのころころキャラ変わるの止めろよな」 「な~んの話かねぇ。キャラって」 くわえた煙草を上下に揺らしながらコーヒーへと手を伸ばす 「嘘ついてない?本当に知らないの?」 「知らねぇよ」 呆れたように応える人識を暫し見つめる解識 「残念でしたって感じね。解識さん」 「はぁ…悪かったね人識…もし見つけたら連絡頂戴」 言いつつコーヒーを飲み干しながら電話番号とアドレスを記した紙を人識に渡す 「簀戸さん、これとこれで幾ら?後これもあげる」 「えぇと…1280円ね。はいありがとう。見つけたら連絡するわね」 「祈啼漓さんにも言っておいてくださいね…はい、1300円。おつりは良いです」 「あ、おい」 「久々に会ったんだから奢らせなさい人識。じゃあね」 言いたいことだけ言うと解識は扉へと向かった 「待てよ、あんた何でそんな焦ってんだ」 扉を開けた解識に人識は問いかけた 「……から」 「あ?」 「零崎暁識が、現れたから」 「なんっ」 「って言ったら信じる?」 僅かに振り向く解識 殺意の滲んだ紅い瞳が人識を射抜いた 「じゃあね、人識。零崎一賊の鬼子くん」 パタン 残されたのは驚愕を隠しきれない人識と―― 酷く冷たい瞳を扉に向ける簀戸密祈だった [破壊創造]<スクラップメーカー> 戒織解識カイオリバラシキ [人間失格]<ニンゲンシッカク> 零崎人識ゼロザキヒトシキ <Cafe゜s Darkish>店主 簀戸密祈スドミツキ それが今現在の彼らの名前だった 不穏を孕む男が来たりても 静かに日常は回っていく ――ねぇ、そこの君? 終わりが来るのは、俺と彼女とどちらが先か、解るかな? あぁ、ごめん もう答えられないね だって首、ないもんね? 第章<清らなる色彩>了
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