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「式見ちゃんのことでしょう?」
解識と人識の前にコーヒーを置く
「あいつ、どっか行っちまったのか?」
「染識と一緒にとんずらこきやがった」
わずかに怒りを含んだ声音で応えると、煙草を取り出す
火は着けずに加えると人識の方に視線を向けた
「で、知らないぃ?俺のお姫様」
「何で俺が知ってるんだよ」
「何で知らないのですかねぇ、逆に」
「あんた、そのころころキャラ変わるの止めろよな」
「な~んの話かねぇ。キャラって」
くわえた煙草を上下に揺らしながらコーヒーへと手を伸ばす
「嘘ついてない?本当に知らないの?」
「知らねぇよ」
呆れたように応える人識を暫し見つめる解識
「残念でしたって感じね。解識さん」
「はぁ…悪かったね人識…もし見つけたら連絡頂戴」
言いつつコーヒーを飲み干しながら電話番号とアドレスを記した紙を人識に渡す
「簀戸さん、これとこれで幾ら?後これもあげる」
「えぇと…1280円ね。はいありがとう。見つけたら連絡するわね」
「祈啼漓さんにも言っておいてくださいね…はい、1300円。おつりは良いです」
「あ、おい」
「久々に会ったんだから奢らせなさい人識。じゃあね」
言いたいことだけ言うと解識は扉へと向かった
「待てよ、あんた何でそんな焦ってんだ」
扉を開けた解識に人識は問いかけた
「……から」
「あ?」
「零崎暁識が、現れたから」
「なんっ」
「って言ったら信じる?」
僅かに振り向く解識
殺意の滲んだ紅い瞳が人識を射抜いた
「じゃあね、人識。零崎一賊の鬼子くん」
パタン
残されたのは驚愕を隠しきれない人識と――
酷く冷たい瞳を扉に向ける簀戸密祈だった
[破壊創造]<スクラップメーカー>
戒織解識カイオリバラシキ
[人間失格]<ニンゲンシッカク>
零崎人識ゼロザキヒトシキ
<Cafe゜s Darkish>店主
簀戸密祈スドミツキ
それが今現在の彼らの名前だった
不穏を孕む男が来たりても
静かに日常は回っていく
――ねぇ、そこの君?
終わりが来るのは、俺と彼女とどちらが先か、解るかな?
あぁ、ごめん
もう答えられないね
だって首、ないもんね?
第章<清らなる色彩>了
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