第七章<惨殺歌>

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「暗殺じゃなかったのか」 「暗殺ですよ??」 彼女に心酔しているらしい武器職人に作らせたと言う 一見何の変哲もないスーツを深紅に染め上げた式見が笑って答えた 「暗殺した後、猟奇殺人に見せかけろって言われてるもので」 張りついたドレスシャツがカラダの線を浮き彫りにする 「まぁ、一種の警告ですよ」 浮かべた笑みが僅かに狂気を帯びて、 「…殺さないでくださいよ?私のこと」 それに引き寄せられて伸ばした手は彼女の首を掴んでいた 「君が何を考えているか僕には少しも解らない」 その言葉に 返されたのは酷く優しい微笑み 「人形は」 「ただ演じ手の意図するままに動くだけ」 「音楽家は」 「自身にとっての最高の境地を表現し続けるだけ」 「だから」 「だから?」 「解り合う必要などない」 ――紅のカラダに斑の心 その本質は…誰? 第八章<惨殺歌>了
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