第十章<[破壊創造]戒織解識>

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戒織解識は無神論者である 彼にとって世界とは自分が認識できる範囲だけで充分であるからだ だからと言って彼は自分が万能だとか優れているだとかは一切思っていない むしろ彼は今まで出会ってきたすべての存在よりも自分は劣っていると考えている 有機物はおろか無機物さえも 単細胞生物さえも自身よりかはずっと優れていると思っている 「だからこそ俺は醜悪な存在が許せない」 「俺は、すべての存在よりも劣っている」 「だから俺が、俺自身よりも劣っていると思った存在は」 「この世界には必要ない」 「俺は最下層だ」 「だから俺は殺す」 「だから俺は――」 「零崎一賊ではない」 「殺人鬼に目的はないが俺には目的がある」 そこまで呟くと、彼は壁に預けていた体をゆっくりと起こした 「……つまらないね、彼女が居ないと」 足元に広がる血の海などには目もくれずに解識は歩みを進めて行く 「……しかしこの人達は何の為に俺を襲ったんですかね」 血溜まりに転がる四つの死体に首をかしげる 「俺なんて襲っても一銭の得にもならないってーのになぁ?」 そう毒づいた所で解識は嫌そうに顔をしかめた 「……まさかとは思うけど、もしかしてこの人達ただの一般人?」
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