第十章<[破壊創造]戒織解識>

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血に染まった革靴の先でぐいと一人の顔を上に向かす 「うわ、もろただ悪さしたいだけって感じの顔してますね」 あーあ、と解識は天を仰いだ 「つい殺人鬼みたいなことしちゃった。俺ってこんなに気ぃ短かったっけ」 そう言って自嘲的に笑う 「まぁいいでしょう…万が一彼らに殺されてしまったら、もっと面倒なことになって………」 そこまで呟いて目を見開く (面倒?何が?どうして俺が死んだら面倒なんだ?どうして俺は) ――彼らが、零崎一賊が出てくることを考えている? 「俺は零崎じゃない――」 「俺は彼女の従者だろう」 「俺は戒織解識だ」 どんなに零崎一賊に似通った名を与えられていようとも 「俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、俺、は、俺は、俺は」 「俺は、君の」 「君の、俺は」 「ただ独りの」 「裏切ることのない存在」 「君は、俺の」 「俺の、君は」 「唯一無二の」 「俺を殺してくれる存在」 矢継ぎ早にそこまで足元の死体を踏みつけながら呟く 「君と俺は、太極」 「……しき、み」 (早く俺を殺して) 不安定な人格は揺らぐ足場の映し鏡 狭量な世界は果てなき依存の表れ 彼女以外のいったい誰が 神を求めぬ彼を救えると言うのだろうか ――俺は此処に要るよ…? 第十章<[破壊創造]戒織解識>了
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