第十壱章<闇夜の宴>

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(末恐ろしいっちゃ…あの人識を手懐けるだけの事はあるって事っちゃな) だが本当に恐ろしいのは彼女は気付いていない才能― _________・・・・ ―無条件に彼女に従いたく ・・ なる― と言うものだろうと軋識は思う 彼女がこの才能を意識して使えば簡単に世界を滅ぼせるだろう (式見はそんなつまらないことしないだろうっちゃけど) 「どうかしましたか軋識さん?どっか具合でも悪いんですか?」 黙りこんだ軋識の顔を下から除き混みながら尋ねる そこまで近寄られていた事に気づけなかった軋識は驚いて体を後ろへと下げた 「あ、ごめんなさい」 「トキだったら死んでたっちゃよ」 「曲識さんだったら近寄ったりしません」 「怖いもの知らずの式見もそこまで馬鹿じゃないっちゃな」 「色々引っ掛かる言い方ですね…」 不満そうに言葉を返す ピリリリリリリ…… 「……すみません」 ピリリリリリリ………ピッ 「…私だ。何の用だ?」 「…………解った。すぐそちらに向かう。良い、私が片付ける。あぁ…では後程……」 ピッ 「すみません、野暮用が入りました。今夜の所はこれにて失礼致します」 「あぁ……気をつけて」 思わず素の口調で返す 慣れないのだ 式見が只の少女から暗殺者へと変わるその瞬間を見るのは 表情もまとう雰囲気も がらりと変わってしまう 置き去りにされる 「ではまた」 艶然と微笑み彼女は軋識の前から姿を消した 黒い揚羽蝶を思わせる喪服を翻して ―お前、本当は何者だっちゃ [愚神礼賛]<シームレスバイアス> 零崎軋識ゼロザキキシシキ 暗殺者 八枷式見ヤツカセシキミ それが今現在の彼らの名前だった ――その喪服は死者の為でなく 生きても死んでもいない二人の為に 第十壱章<闇夜の宴>了
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