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蜩がせわしなく鳴く初夏。
熔けてしまいそうなくらいに
あっためられた風都。
「あちぃー…」
俺はアイスをくわえながら
突っ伏して呟く。
「うるさいぞ左…
余計に暑くなる………」
照井もレザースーツを脱いで
トレーナー姿になっている。
「亜樹ちゃん…暑いよぅ…」
フィリップもいつものロングパーカーを脱ぎ捨てている。
「夏だから仕方ないよフィリップくん…」
亜樹子ももはやキャミソール。
エアコンが効いていても
この暑さ。正直参るぜ。
「…海行きてぇ」
俺のポツリと呟いた
何気ない一言がフィリップの
アウトドア精神に火を付けた。
「…海。そうだ海だよ亜樹ちゃん!!海に行こうよ!!」
「海…?んー、確かにいい案かも!!」
「海は好きじゃないな…」
亜樹子とフィリップは
もはや行く気満々。
「早く連れてけ」と言わんばかりだ。
「…はぁ、わかりましたよ」
「仕方ないな…」
こうして俺のハードボイルダーと照井のディアブロッサで、
行く事に。
しばらく走らせると海水浴場に着いた。
愛車を停めて砂浜に下りる。
「フィリップくん着替えよっ」
「あぁ!!」
無邪気な子供達だ。
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