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数日後、いつもと同じく美香と車校に行った。
私は元彼と別れた直後から美香の家の離れに美香と二人で住んでいた。一人になりたくなかったから。
美香には、彼氏がいた。
でも遊びたいらしく男探しをしていた。
美香の家に私がいる時も美香は彼氏を呼んでいた。
当然彼氏だから。
彼氏からすれば私は邪魔だったと思う。
申し訳ない気持ちもあったけど、家に帰りたくない。一人になりたくない。結局自分の事しか考えていなかった。
私達は私の叔母が経営する飲み屋で働かせてもらっていた為、お金には困る事はなかった。
ケータイ代も車校のお金も親に出してもらっていたけれど、この時の私には思いやりも感謝の気持ちもなく、それを当たり前かのように思っていた。
美香と常に行動を共にしていたのは一緒に住んでいたから。
その日私達は授業が始まる時間より1時間程、余裕を持って行った。
長椅子に座りながら二人でタバコを吸って話をしていた。
「ヤバい…タバコなくなった~」
そう言う私に美香は
「誰かにもらえばいいじゃん」
と言った。
車校にタバコの自販機があるはずがない。
私は
「そんなん舞には言えれん…」
そう言えば美香がいつもみたいに誰かに声かけてくれると思った。
案の定美香は
「ならあたし聞いてきてあげる」
そう言って2階に上がって行こうとする美香に
「舞も行くー」
私は美香の後を追った。
2階に行く途中にいた二人組の男に
「ねぇ、タバコ持ってない?友達がタバコ切れでさぁ」
美香はいつもみたいにあっけらかんと聞いた。
一人の男が
「あるよ。これでいい?」
そう言って後ろにいた私に渡そうとしてきた。
「え?こんなに?全部はいいよ…悪いじゃん」
「俺あるけんあげる」
そう言って笑って渡してきた。
「いいの?」
「うん」
「マジありがと!」
私は御礼を言って有り難く頂戴した。
何回か見た事ある人だったな…
そう思いながら時計を見ると授業の始まる時間になっていた。
「やっばーい!美香、行ってくるけん」
「はいよ~」
タバコくれた男の人に再度御礼を言って教室に走った。
これを期にその男の人と会話をするようになった。
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