黒ずくめの男

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連日の猛暑でメンバー全員が汗だくだった。 かれこれ2時間以上は歩いている。 「おい、あれ見ろよ」 秀眞が指をさした先には、黒い建物が自然に溶け込むように建っていた。 2階建てで窓ガラスは割れ、コンクリートにはひびがはいっていた。 まさに廃校である。 「ふぅ、やっと着いたな」 秀眞は汗を拭いながら言った。 「よし、いってみよ~!」 涼は声を張り上げた。 全員は校舎へと向かう。 校舎の中に入ると1-1から3-4までの下駄箱が並んでいて、一番右側には教職員用の下駄箱があった。 「高校ん時を思い出すな~」 雄一が言った。 航大以外の4人は、高校からの付き合いだった。 航大は引っ越してきたのだ。 「あ~そういえばお前、となりのクラスの奴に告って振られたよなー」 ちゃかすように順也が言った。 「もう忘れてくれよ!」 そこに涼が加わってきた。 「お前はやり方がだめなんだって、いいか、告る時はまず相手の目を見て…」 「あ、涼、水筒ある?」 涼のマシンガントークが炸裂する前に、秀眞が割って入る。 経験上、この先止めなければ30分は話しているだろう。 「ったく、人が話してる最中に」 文句を言いながら涼がリュックの中から、水筒を出して秀眞に渡した。 「サンキュー!」 ゴキュ、ゴキュ、ブハー! 「よし、水も飲んだことだし、さっそく探索してみますか!」 「そうだね、じゃあ二手に別れようか!」 航大が賛成する。 こういう場合二手に別れるのは相場で決まっているのである!
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