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順也と航大は、一階の一番最初の部屋に目を止めた。
『職員室』
「ここ、入ってみるか」
順也は懐中電灯で職員室を照らした。
「職員室、面白そうだね」
オカルトをこよなく愛する航大は、いかにも楽しそうに首からぶら下げていたカメラを構えた。
職員室の中は古びてはいたものの、書類や参考書はそのままで机上に散らばっていた。
「写真撮るよ、ハイチーズ!」
パシャ
航大は、あごに手を当てている順也を撮った。
「どうだ?かっこよく撮れたか?」
順也は見当違いのことを聞きながら航大の近くに寄ってくる。
「ちょっと待って………、あ~!」
「ど、どうした!」
「ほら、ここ見て」
航大はデジタルカメラの画面を指差して言った。
「順也の後ろの窓、なにか写ってる」
確かにそこには黒の帽子をかぶり黒の上下を着た男が立っていた。
慌てて窓の外を見てみるが、なにもいない。
「すごいよ!本物の幽霊だよ!!」
「あぁ、まさか一発目から写るなんてな、あいつら見たら驚くぞ」
いままでも出るとうわさの病院やらトンネルやらを撮ってきたが、心霊写真なんて一枚も撮れた試しがなかっただけに嬉しさがこみ上げてきた。
「まだ写るかもしれないし、どんどん撮ろうよ」
「ああ、そうだな、きっとあいつらまだ全然撮れてねーだろうし、時間には余裕あるからな」
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