いつだって君のそばで…

１

心療内科。

自分のせいで追いつめた。
さっきの女性が入院している場所だ。

病室を飛び出し、何故か、ロビーに着いてから動けなくなってしまった。

そこにあったソファに座り込む。

焦ったように近付いてきた足音が、自分のすぐそばで立ち止まったのに気づいて、顔を上げた。

さっき部屋にいた男…

名前は
工藤 丈二 ｸﾄﾞｳｼﾞｮｳｼﾞ。

俺の不倫相手。

彼は複雑な表情でこう言った。

｢いきなり来るなんて、非常識だと思わないか？！
雪絵は普通の状態じゃないんだ！
君の自己満足の為に俺を振り回すのは止めてくれ！！｣

確かに…きちんと謝罪をしたいなどと思ったのは、間違いかもしれない。

余計に奥さんを苦しめる結果になってしまった。

だけど、自分のせいで入院したなんて聞いたら、いてもたってもいられなくて…

散々、悩んで…

でも、やっぱり謝りたいって思ったんだ。

ただ自分が、楽になりたいだけだって思われても…。

｢…ごめん…なさい。｣

うなだれて、それしか言えなかった。

もっと、

他にもっと、言いたいことがあったような気がするけど…。

もうどうでも良かった…。