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「ざ……な。」
「ん?どうした?雪絵はたまにあんなふうにヒステリー起こすから、俺も大変なんだよ!
今回は倒れちゃったから、仕方なく看病してるけど、全く。」
「っざけんな!!」バキイッ!!
湧き上がった怒りはとうとう沸点を通り越し、俺は確実に丈二の顎をぶっ飛ばした。
「奥さんが一番大事じゃないのかよ!!
泣きながら妻が入院した!って電話してきたのはあんただろうが!!!
悩んで禿げかけた俺の一週間を返せ!!!」
周りの視線が痛い…。
通りかかった主婦達がこちらを見てヒソヒソ話をしている。
病院のロビーで、見事な三流ドラマのワンシーンを演じた俺は、倒れて面食らってる丈二を残し、その場を後にした。
今度は丈二も追いかけてこなかった。
追いかけてきたところで、またぶっ飛ばすけど。
TELLL…
病院の外でタクシーを捕まえ、乗り込んだところで携帯が鳴った。
一瞬、丈二からかと眉をひそめるが、ディスプレイに映し出されたのは同僚の名前だった。
通話ボタンを押し、電話に出る。
「はい…。もしもし。」
「あっ。井川!休みんとこ悪いな!」
かけてきたのは同僚の相沢だった。
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