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タチバナは少し怯えたような、それでいて照れているような表情を僕に向ける。
「どうだ、傷は痛むか?」
僕はなるべく怖がらせないように、怯えさせないように、ゆっくりタチバナの横に立つ。
「あ…え、きず?」
タチバナはなんのことか理解出来ていないようだ。
「ホラ、首を見てみろ」
保健室にあった鏡の前までタチバナを連れていき確認するように促す。
タチバナの首には小さい二つの点が赤く残っていた。
「やっ…あ…ホントだ。え…っ?コレ…って」
振り返ったタチバナに僕は首を縦に振り
「僕がつけた」
ボッと音がした。
何かと思えばタチバナの顔が火をつけたみたいに一気に赤くなっていた。
「ぅ、あ…す、すいません…。思い出しちゃって……て、てゆうかコレどうやって…」
一向に僕と目を合わせようとしないタチバナ。
…コイツもノブオと同じだ。
フッ、おもしろい。
「何を?」
「…え?」
「何を思い出したんだ」
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