僕って…

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「な、にっ…って別に何も………」 まだ僕をみない。 意地でもこっちを向かせてやる。 「別に、何も…な。ああ、それからその傷はな」 タチバナは“傷”の単語にピクッと反応を示す。 「僕がかみつこうとして出来たんだ」 タチバナは思いきり俯いていた顔を上げ、その瞳に僕を映す。 フン…僕の勝ちだ。 「かみつくって、え?ど…え?かみついた?」 ますます分けが分からない顔のタチバナに 心優しい僕が丁寧に説明してやる。 「正確にはかみつこうとしたが失敗した。ノブオのせいでな。ちなみにだが、そうした理由はな、僕がバンパイアだからだ」 「バンパイア…」 沈黙の後、ポツリと呟いた。 「ああ。何か質問は?」 タチバナは心底不安そうな目で僕を見る。 「あの…オレ、オレ…も、吸血鬼になっちゃうんすか?」 タチバナ…安心してくれ 「それはない」
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