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「は、母上!」
「セニョリータ!」
僕らは同時に叫んだ。
「一体何の騒ぎなの?」
母上は微笑みながら近づいてくる。
「セニョリータ、君が心配することじゃないよ」
「あら、そんなことないわ。タカシはわたしの子供でもあるのよ、ちゃんと教えてほしいわ」
母上は父上にジリジリと詰め寄る。
「し、しかし君は人間だから…」
「親が子供の心配をするのに吸血鬼も人間も関係ないはずよ?」
あまりの正論に何も言い返せず父上はすべてを母上に話した。
そしてそれを知った母上は
「そう…人間の血が吸えないのね。人間のわたしがあなたに母乳を与えていたから、身体が人間に近づいたのかしら」
優しく言う母上に対し
「ふんっ。ただの人間かぶれだ」
冷たい父上。
「そんなこと言わないで。この子だって悩んでるのよ。わたしがあっちからいろいろ持ってきちゃったばっかりに、まるで本物の子供部屋みたいになったんだもの」
「それは子供のころの話だろう。いくらでも整理するチャンスはあったはずだ」
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