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「いーかタカシ。こんだけ人がいるんだ。無理に行こうとすれば当たるに決まってんだろ」
ノブオは子供に教えるかのような優しい口調で話し掛ける。
いつもタカシにからかわれてばかりのノブオは
迷子よろしく戸惑うタカシに満足していた。
「じゃあどうしろと」
「こうするんだよ」
ノブオは身体を左右に反転させながらうまい具合に先へと進んでいく。
「ホラ!ここまで来てみろよ」
ノブオの大きな声がタカシを呼ぶ。
むぅ…。
はっきり言っておこう。
「イヤだ」
「ハァ?」
「そんなことしなくとも通れる」
タカシは急に両手を高く上げる。
「おい…オマエ何を」
何かヤバいことでもするんじゃないかとノブオは焦った。
しかし
パンッ…!
タカシはただ手を叩いただけだ。
「…ちょっ!?」
何やってんだっアイツは!
その場にいた人達はみんなタカシに注目している。
あ~もうっ!
知り合いだって思われたくないっ!
こっそりノブオが逃げようとした時
「…道を開けろ」
タカシのよく通る声が鼓膜に響いた。
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