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母上は父上を諭すように話出す。
「ねぇ、あなた。わたしにいい考えがあるのよ」
「いい考え?」
僕はつい口をはさむ。
母上はニッコリと僕に笑いかけると
「そうよ。タカシ、あなたに…人間界に行ってもらおうと思うの」
…え?
「人間界へ…?」
父上は困った様子だ。
「しかしだな、それはまだタカシには早いんじゃないかな?セニョリータ」
「そんなことないわ。あなたが私のところに来たのだってタカシくらいのときじゃない」
これは僕には分からない話だ。
だけど、こうゆうときに
父上が母上に勝ったことはない。
「う、うむ…。だがタカシは…」
「あなたは少し心配性すぎるわ。人間界で暮らしていれば一人くらいタカシの理想の子がいるはずよ」
父上は少し考えているようだったが
「…わかった。タカシ、おまえには人間界で暮らしてもらう。ただし行くからには必ず伴侶を見つけてから帰ってきなさい」
「承知しました」
こうして僕の人間界行きが決まった。
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