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HR中だったからか、廊下には誰もおらず、ノブオが思っていたよりもずっと簡単に職員室にたどり着いた。
「ホラ、ここが職員室だから。オレは先に教室行くし、おまえはちゃんと挨拶しろよな」
「さっさと行け」
心配性なノブオは相変わらずウルサイ。
ノブオは生意気にチッ、と舌打ちをして階段を上っていった。
後ろから後頭部をドツイテやろうかと拳をにぎりしめたが。
「あ、もしかしてタカシくん?」
後ろから声をかけられ、叶わなかった。
振り向いた先にいたのはなんともひ弱そうな眼鏡をかけた男。
「…だれだ」
名前を知られているってことは無関係ではないのだろう。
「ぼくは宇野優です。キミの担任だよ」
「担任…」
僕の担任がコイツ。
こんな弱そうなヤツで大丈夫か?
タカシの無躾な視線にも嫌な顔一つせずニコニコしている。
頼りなさげなフワフワとした雰囲気が、どことなくノブオを連想させる。
「タカシくん、転入早々遅刻はダメだよ?」
「アンタもだろ」
マサルはフフ、とおよそ男らしくない笑い方をすると
「ぼくはタカシくんを待ってたんだよ。ねぇ、みんなキミのこと待ってるから早く教室に行こうか」
タカシは背中を押されながら、教室へと誘導された。
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