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隣の席は知らない女の子だった。
ノブオじゃないのか…。
あたりを見回すとタカシの席とちょうど対角線にノブオの姿があった。
じっ、とこちらを見ているが何やら不機嫌そうだ。
…なんだ?
少しの間ノブオとテレパシーの交信を試みたが、結局わからなかったので諦めた。
ノブオが隣ではないことに内心ちょっとがっかりしつつも、椅子を引くと
「あっ、あの…!八女眞子って言います!あの、あの…よ、よろしくお願いします!」
「やめまこ…?」
「あ、お、覚えづらいですか?えっ…と別に呼び方は何でもいいんですけど」
「いや、もう覚えた。眞子な」
「わぅ…は、はい」
…クッソ、タカシめが!
人間キラーだ、いろんな意味で。
二人のやりとりをだいぶ遠い位置から観察していたノブオは、最近くせになりつつある舌打ちをしてタカシを睨み付けた。
…が、タカシは眞子が吃りながらも一生懸命会話しようとする姿を
まるで珍しい生き物でも見るように喜々とした表情で見つめていて、ノブオの視線には気付かなかった。
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