君の名前はただののぶお。

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ムシャムシャ。 ムシャムシャムシャ。 「…ん、ぅ…」 一体…何の音だ? 僕はうっすらと眼を開ける。 バリッ! ムシャムシャ。 …これは。 っくさい…! 甘ったるい匂いと長年積み上げてきたかのように溜まったホコリの煙ったさで息苦しい。 ぎ…ぎもぢわるい…… 僕は意識が朦朧としてきた。 死ぬ、確実に。 このままでは死んでしまう。 霞む眼の前には大きな岩のようなものが動いている。 「お…おい」 僕は恐る恐る声をかけてみる。 そいつは驚いたのか、ビクッと肩を揺らして振り返る。 「ふぁっ…!ふぁんふぁ、ほふぁーは!ひぃっはいほぉふははひはんふぁ!!!」 《だっ…!だれだおまえは!一体どこから入ってきたんだ!!!》 「…僕は、タカシだ。どこからと言われても…ただここに来たとしか…」 僕は岩男の部屋に窓を見つけ、光の速さで開けに行った。 新鮮な空気が僕の肺を満たす。 フゥ…、やっと息ができる。 「ふぁふぁひ!……ふぁれ?」 《タカシ!……だれ?》 モゴモゴと口を動かすソイツ。 なんだ、口の中で何か飼ってるのか? 気になって少し近づいてみる。 するとソイツは周りに散らかっていた甘い匂いのするものをかき集め後退りする。 ゴックン…! 「これはダメだぞっ!オレのお菓子だ!」 「お、おかし?なんだそれは。おまえは今何を飲み込んだんだ」 ソイツは信じられないものを見るような顔をした。
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