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見た所、二人共黄色人種。白人である自分が珍しいと言う事は、恐らく此処が昔の東国か何処かだからだろう。
(えーと、現代の言葉で通じるかは判んないけど……)
取り合えず相手の東国の言語に合わせて話す社長。普段は滅法使わないが、此の時ばかりは無駄に言語を習得していた事に感謝した。
「異人さんペラペラじゃのー。てっきり話せないで終わるかと思ったが、良かった良かった」
「は、はあ」
能天気な御老人だなと思いながら、茶を飲む社長。
「じっちゃっ! 菓子持って来たぞ!!」
そして先程の少年が煎餅を持ってやって来た。渡された社長は一枚手に取り、ぎこちなく口にする。
「此処はおもちゃ屋さん、だよね」
「そーだよ!」
「駄菓子も売ってるぞ?」
見慣れない東国のおもちゃに目を光らせる社長。そして店頭に置かれていたけん玉を見付けると、試しにと手に取った。
「使っても良いかい?」
「いいぞ」
許可がおり、彼は早速けん玉で遊んだ。昔テレビで見ただけの見よう見まねだが、熟練したかの様に巧みに操る。
「異人さんすごいな!」
はしゃぐ少年は腰にへばり付き離れない。どうしようかと一瞬悩んだが、社長は少年と外で遊ぶ事にした。老人からも許可を貰い、早速出掛けようとしたが、
「暗くならない内に帰りなさい」
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