1544人が本棚に入れています
本棚に追加
そして業とらしく石ころをちらつかせ、青年は男にこう言った。
「只の石ころねぇ。ははっ、其の只の石ころにしてやられてるのは誰かなぁ」
青年の足に力が掛かる。侮辱を受けた怒りで、何としても立ち上がろうとしているのだろう。
どすっ
すると青年は、片足を振り上げ男を思い切り踏みつけた。
どすっ どすっ どすっ どすっ
何度も何度も何度も。暫く繰り返していたら、男は痛みで動けず立ち上がるのを止め、屈辱で顔を歪めていた。
「あれ? もう耐えらない?」
「……ぐっ」
「駄目だね。石ころなら何に何度踏まれても耐えるのに」
反論する力も無く横たわる男。すると青年はまるで石ころを蹴飛ばすかの様に、男を蹴り上げた。
しかし大した距離も開かず、男はすぐ近くで身体を打ち付ける。
「全然跳ばないね。当たっても威力なさそうだ。ははっ、まるで石ころ以下だね」
其の言葉に、男は青年をきつく睨みつける。
「……何を怒ってるんだい? 自分は石ころみたいに硬くて、丈夫で……」
無能だと思ってるのかい?
「馬鹿だね。君は石ころ何かじゃないだろう?」
そう言うと、青年は彦波を抱え其の場を去って行った。
最初のコメントを投稿しよう!