石ころ

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 彦波の家に戻ると、じっちゃんが心配そうに二人を出迎えてくれた。 「帰りが遅いから、神隠しにあったのかと心配してたんじゃぞ」 「大丈夫だよ、多分もう神隠し起きないと思うし」 「そうかのぉ」 「あっ、でも遅くまで遊んでたら危ない事に変わりはないか」  縁側に座り彦波を隣に寝かせた後、社長は煎れてくれた茶をすすりながらのんびりと言った。呑気じゃのうとじっちゃんは呟く。 「所で、お前さんの名前はなんと言うんじゃ」 「名前? ……ス」 「ん?」  社長は貰った煎餅を弄びながら、もう一度言った。 「“ダイス”って、呼んでくれないかい?」  じっちゃんはそうかそうかと笑いながら、社長、ダイスの隣で煎餅を頬張る。  そして直ぐ横で眠る彦波の頭を撫で、じっちゃんは疲れたのかのと考えていた。 「“だいす”よ。お前さんは彦波と何をして遊んだのじゃ? 次はわしも混ぜて欲しいが……」  駄目かのぅとダイスに訊いてみるが返事は無く、代わりに静かな寝息が聞こえてくる。  彼も疲れてしまったのだろうと結論付けると、じっちゃんは彦波にも被せた毛布を部屋から運び出した。 「おろ?」  しかし戻って来ると、既に其処にダイスの姿は無く。名残と言わんばかりに、飲み掛けの湯飲みだけが代わりに縁側に置かれていた。
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