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 実の所、他にも色々と前科があるシエイエスだが、社長は構わないと首を振った。 「良いよ、君は機械さえ触らなければ優秀なんだからさ。其れに君がクビになれば奥さん悲しむだろう?」 「妻はまだいいんですが、娘がね~。不自由させたくないですよね。あっ、娘は今度四つになるんですが此れが生意気だけどかわ……」 「で、本題だけど今度の会見君が出て」  永遠と続きかねないノロケ話を切り上げ、社長はシエイエスに命じる。すると彼は胸に手を置き“御任せ下さい!”と高らかに言った。 「私(わたくし)シエイエス、全身全霊で果たしてみせます!!」  こうなったらもう秘書ことドリスでも止められない。彼は任務を終えるまで何処までも突っ走るだろう。 「全く、また彼が社長だって思われてしまいますよ?」 「構わないよ。彼の方が話術に長けてるし」  社長はそう言うと、机に置いてあったシルクハットを被り、荷物を持つと席を立った。 「……社長?」 「あっ、仕事は終わったよ?」 「いえ、そうでは無く!」  シエイエスの横を通り過ぎて、ドリスに構わず部屋を出る社長。 (……遊びたいな)  物思いに耽りながら周りを見ず、聞かず歩いていると、唐突に視界が切り替わり自分は見知らぬ土地に着いた事に気付いた。 「……え?」
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