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「ル、ルイ! ルイ! 何故だ、何故……!!」  父親が必死に血塗れのルイを揺さぶり起こそうとする。すると片手から何か落ちた。  見ると其れは空になった宝石箱。此れを、本当に守りたかったのだろう。 「指輪などまた買えばいいではないか! 例え婚約が遅れ……!!」  其処で、父親は気付いた。ルイが此れ以上婚約を遅れさせたく無かった事に。  葬儀は盛大に行われた。カロリーナも父親も、皆々、泣き続けている。  ……ソフィーも、墓土を被せられていくルイを、遠くから悲しそうな見詰めていた。 「ルイ、さん……。どうして……」 「あっ、居た居たソフィー」  此の場に似合わない軽快な声。振り向くと、ダイスが幼子の様な笑みを浮かべ立って居た。 「彼も考えた物だね。裏切らない為に一芝居うつなんて」 「ひ、一芝居……?」 「そっ。でも皆を悲しませちゃったけど」  そう言うと、ダイスは三つ輪の花をソフィーに手渡した。いつもルイが、ソフィーから買っていた花だ。 「もっと良い花は買えるだろうに、彼も一途だね」  ふと、ソフィーは花を束ねる輪が不自然だと気付く。宝石が、埋め込まれているからだ。 「ダイスさん、此れ……」 「其れは“彼の思い”」
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