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其の発言により、社長は美女ことドリスに再び叩かれる。更なる後頭部の痛みに耐えながら、若き社長は手を動かした。
「う~、飽きたよドリス!」
「社長、もう少しですから!」
「大体おかしいと思わないかい? 僕みたいな子供が社長なんてさ!」
手は止めず、世の中不平等になった物だと社長は嘆いた。が、若くとも才ある者が上に就ける世の中は、寧ろ平等だろう。
「確かに社長は若いですが、就任した時から既に成人してますし、問題ないでしょう?」
「確かにギリギリ成人だったよ。けどさ、まだ学生だったよ。……通学と通勤を両方こなすってどういう事だい!? 全然遊べないじゃないか!」
「もう過ぎた話でしょう」
「卒業したのつい此の間だよ!?」
「いつまでも我が侭言っては駄目です」
ぶつぶつと駄々をこねる本当に子供の様な社長を、ドリスは母親の様にあやし仕事を続けさせる。
そして数時間後、朝日が近付く時刻に漸く社長は仕事を終えた。
「もっ、無理、疲れた……!」
「お疲れ様です。あっ、此処で寝ないでくださいよ?」
机に突っ伏し始める社長に、社長室で寝たら部下に示しがつかないと止めるドリス。因みに、社長の家は会社から近く電車やらの時間と関係なく帰る事が出来る。
「寝るなら家でゆっくり寝てください。今日の仕事は私達秘書に任せて……」
「んー、了解」
荷物を持ち着崩れたスーツを適当に整え、社長はシルクハットを被るとふらつく足で廊下へ向かう。
「あっ、そうそう」
そして思い出した様に振り向くと、社長はドリスに一枚の紙を渡した。
「社長、此れ……」
「新商品のおもちゃ。一応候補に入れといて」
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