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幼い頃、親を亡くして以来親戚にたらい回しにされ続け、唯でさえ友人を造りにくい環境だったと言うのに追い討ちをかける親戚の言動。
(思い出して良かった様な、悪かった様な……)
複雑な気持ちを整理し、社長は夢は過去の事、今と関係無いと結論付けた。
其れに親戚が原因なら一人暮らし始めた時点で解決している筈だ。其れでも友人が作れないのは、やはり己の所為だろう。
『ホ、ン……ト?』
ふと、脳裏に直接響いた声。男とも女とも取れない、何処か幼い声。
「誰だい? 不法侵入は犯罪だよ?」
『ボグ、ユメ゛』
「夢? じゃあ此の嫌に鮮明な夢は君の仕業かい?」
『ヴン。キミノユメ゛、ヴマイ』
「バクなら悪夢ごと食べてくれないかな……」
肩を落として見えぬ夢とやらに話し掛ける社長。御陰で此方は気分が悪い。
『ネ゛ガイ、アルカ?』
「は?」
『ネ゛ガイ、カナエ゛ル』
唐突の発言に戸惑いながらも、社長はこう言った。
「じゃあ時空越えたいな。相棒を見付ける世界旅行! 序でに未知の冒険を堪能したりな~んて……」
冗談だった。夢の中だから、もう何でもありだろうと半ば自棄になっていた。
『ワ゛カタ。ソノ……カ、ワリ』
「え?」
しかし次に目が覚めた時には、彼は知らない土地に立って居た。
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